研究情報

研究成果『試験して得られた技術事項』

長野県農業関係試験場にて取り組んだ「試験して得られた技術事項」の研究内容とその成果をご紹介します。

野菜・花き・きのこ・病害虫 平成13年(2001年)野菜試

育苗期後半の苗箱への薬剤灌注処理によるキャベツのコナガ防除

キャベツのコナガ防除では,定植時に粒剤を植穴土壌混和処理することで約1か月間密度を抑制することが可能である.しかし,1株ごとに所定の薬量を計りとって処理する必要があるため,非常に労力がかかり,正確な処理量が投入されない場合が多い.自動定植機を使った場合,アタッチメントを装着することで自動的に植穴処理が出来るが,その普及率は低い.したがって,粒剤の具備する防除効果が出ないため,現状では粒剤を植穴処理しても定植1週間後くらいから散布剤による防除が行われている.そこで粒剤の処理方法を簡便化するため,育苗期後半にセル成型育苗トレーに粒剤を株元処理する方法で農薬登録を促進した.しかし,粒剤を均一に処理することが難しいことから,さらに簡便で効果の高い新たな薬剤処理方法を開発する.

野菜・花き・きのこ・病害虫 平成13年(2001年)野菜試

花き類からのINSV県内初検出と簡易診断

INSV(Impatiens necrotic spot virus)は極めて多犯性で、広範囲な草花・花木類・観葉植物に感染し、海外では花き類を中心に34科の植物で被害が報告されている花きの重要病害である。またミカンキイロアザミウマによって媒介され、媒介虫のもつ薬剤抵抗性、ウイルス伝搬効率の高さ、宿主範囲の広さから、最も警戒を要するウイルスと考えられている。そこで、本県における発生を確認するとともに、生産現場で簡易に診断できる方法について検討する。

野菜・花き・きのこ・病害虫 平成13年(2001年)野菜試

セルリー萎黄病に対する熱水土壌消毒法の適応性その2

Fusariu moxysporumによって引き起こされる萎黄病は、セルリー栽培において最も深刻な生産阻害要因となる土壌伝染性病害である。現状、産地では、クロルピクリンによる土壌消毒で防除しているが、本剤は処理時の作業者に対する刺激が強いことから代替薬剤や耕種的防除方法の要望が強い。近年、農林水産省農業研究センターにより開発された熱水を利用した土壌消毒法は、トマト萎凋病やホウレンソウ萎凋病等のフザリウム菌による土壌病害に対する防除の有効性が明らかにされている。そこで、熱水土壌消毒法のセルリー萎黄病に対する適応性について検討する。

野菜・花き・きのこ・病害虫 平成13年(2001年)野菜試

スイカ炭腐病(仮称)菌、Macrophominaphaseolinaの寄主範囲

日本国内のウリ科野菜で初発生したスイカ炭腐病(仮称)は、多犯性植物病原菌であるMacrophomina phaseolinaによって引き起こされる土壌伝染性病害であることが明らかとなった。今のところ発病面積は少ないものの,本病原菌は典型的な多犯性土壌病原菌であり、休耕地に作付する作物や輪作作物の選定には注意を要する。そこで、本病菌の寄主範囲について検討し、防除対策の資料とする。

野菜・花き・きのこ・病害虫 平成13年(2001年)野菜試

レタス斑点細菌病の病徴判別法

レタス斑点細菌病は近年発生が増加しているが、外葉葉縁部が褐変する症状は斑点細菌病菌が関与するものと生理的要因によるものがあり、診断に迷う場合がある。そこで斑点細菌病と、斑点細菌病以外の要因による葉縁部褐変症状の違いを明らかにし、効率的防除の資とする。

野菜・花き・きのこ・病害虫 平成13年(2001年)野菜試

スライド凝集反応を利用したスイカ果実汚斑細菌病菌の検出法

平成11年に本県における初発生が確認されたスイカ果実汚斑細菌病は、今後も再発生する可能性がある。発生を確認するためには正確な診断が必要だが、本病の葉における病徴は生理障害や褐斑細菌病と類似する場合があり、現場で適用できる簡易な検定技術が必要である。そこで農業技術研究機構野菜茶業研究所で開発された感作液を用い、本病菌Acidovorax avenae subsp. citrulli(Aac)のスライド凝集反応法による検出技術を検討する。

野菜・花き・きのこ・病害虫 平成13年(2001年)野菜試

培地によるレタス根腐病菌のレース判別法

レタスから分離したF.oxysporum f.sp. lactucaeには2つのレースが存在するが、レース判別には従来多くの時間および労力を要する接種試験を行う必要があった。本病菌のレース1とレース2では、レースに特異的な栄養要求性の差が認められたことから、その性質を利用した簡便なレース判別法を開発し、抵抗性品種の効率的利用をはかる。

果樹・病害虫 平成13年(2001年)南信試

マルメロの尻腐れ症状の原因究明と防除対策

マルメロ栽培で収穫期に果実のていあ部から腐敗が進行する尻腐れ症状が問題となっている。この尻腐れ症状の原因を究明するとともに防除対策を検討する。

果樹・病害虫 平成13年(2001年)南信試

日本なし「幸水」で問題となる心腐れ症状の発生生態と防除対策

主に「幸水」で発生する心腐れ症状は、収穫時あるいは選果時に外見から判別できないものが多いため、市場や消費者段階で初めて顕在化することが多い。これらはクレームとなり、産地のイメージを著しく落とす原因となる。この心腐れ症状の原因と発生生態を解明し、防除対策を講ずることにより心腐れによる被害を軽減する。

平成13年(2001年)農総試

高性能冷蔵庫を利用したぶどう「巨峰」の60日貯蔵方法

‘巨峰’は、12月販売を目標とした長期貯蔵が望まれているが、年較差による品質差が大きく安定した貯蔵を行うことは難しい。このため、一般に用いられている冷蔵庫で安定した貯蔵を行えるのは、収穫時品質が良い年でも40日程度である。そこで、高精度の温度制御、湿度調節、高圧静電誘導等の機能を付加した高性能冷蔵庫に、包装形態を組み合わせ、従来より20日長い60日程度まで貯蔵期間を延長する。

作物・その他 平成13年(2001年)農総試 野菜試

歩行型枝豆収穫機(ミツワGH)は実用性がある

従来、手作業でしかできなかった枝豆収穫を機械化することにより、枝豆栽培の省力化を図り産地形成を支援する。

作物・その他 平成13年(2001年)農総試

水稲用播種機に苗箱施薬剤施薬機(スズテックSDP)を設置することにより長期残効型箱施薬剤が播種と同時に施用できる

播種機設置型苗箱施薬剤施薬機の利用により、水稲育苗箱処理専用長期残効型薬剤(土入れから田植直前までいつでも使うことが可能な薬剤、平成12年度普及技術)を播種時に処理することで、田植直前での育苗箱への薬剤散布作業を省略する。

畜産 平成13年(2001年)畜試

ライ麦の散播栽培において収穫ロスを低減するには、稈径の太い品種の選定と低密度栽培が有効である

自給飼料の増産を図るには、冬作の積極的な導入による作付け体系の確立が重要である。しかし、冬作飼料作物は、本県の気象条件および夏作との収穫、播種作業の競合等の問題から作付けは伸びていない。ライ麦は、耐寒性・耐雪性に優れ、作期幅が比較的広くとれるため、適正な品種を選定することにより、夏作との収穫、播種作業の競合等の問題も少なく、自給飼料生産量を向上させるために有望である。しかし、倒伏等による機械収穫ロスが多く、実収量が少ないことが問題となっている。そこで、ライ麦の散播栽培において倒伏を防止し、収穫ロスを最小限にする栽培技術について検討する。

畜産 平成13年(2001年)畜試

イネホールクロップサイレージでは、水分含量が低いほど乾物詰め込み密度が上昇し、良質なサイレージ調製が可能となる

イネは、サイレージ貯蔵する場合に寒地型牧草等に比較して茎葉が堅く詰め込み密度が低くなるため、一般に乳酸発酵しにくい材料であるといわれている。そこで、イネの収穫時期と切断長が発酵品質に及ぼす影響を検討し高品質サイレージ調製条件を明らかにする。

畜産 平成13年(2001年)畜試

採草用草種としてハイブリットライグラス「ハイフローラ」は有望である

自給飼料増産に資するため、ハイブリッドライグラス新品種「ハイフローラ」の収量性並びに栽培上の諸特性について、県普及品種「テトリライト」、市販品種「エース」と比較して検討した。

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長野県農業関係試験場は、県内6つの試験場を中心に農業・水産業の課題解決のための試験研究を行っています。

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