研究成果『試行技術』
長野県農業関係試験場にて取り組んだ「試行技術」の研究内容とその成果をご紹介します。
作物・病害虫 令和5年(2023年度)農業試験場環境部
イネ稲こうじ病に対する土壌改良資材とモンガリット粒剤による被害軽減技術転炉スラグの300㎏/10aまたは生石灰の100㎏/10aを春耕起~代かき前に土壌混和する処理と、モンガリット粒剤の3㎏/10aを出穂期2~3週間前に湛水散布する処理を組み合わせることで、イネ稲こうじ病の発病が減少する。 |
作物・土壌肥料 令和5年(2023年度)農業試験場環境部・作物部
水田から発生する温室効果ガス(メタン)の削減には中干し期間の延長が有効である中干しを通常の期間より延長して土壌を乾燥させることにより、水田から発生する温室効果ガス(メタン)を3割以上減少させることができる。 |
畜産 令和5年(2023年度)畜産試験場(生産振興領域)養豚養鶏部
粗蛋白中のリジン比率を約3%に調整した配合飼料の給与により豚の筋肉内脂肪含量を増加させることができる県内の飼料製造業者から購入が可能で、粗蛋白中のリジンの比率を約3%に調整した飼料を肥育後期豚に給与することにより、筋肉内脂肪含量が多い豚肉の生産が可能である。 |
畜産 令和5年(2023年度)畜産試験場(生産振興領域)養豚養鶏部、園芸畜産課
霜降り豚肉の認定基準値として筋肉内脂肪含量は4%以上が望ましい筋肉内脂肪含量が高い豚肉は「やわらかさ」「ジューシーさ」「食感の好ましさ」が高く、霜降り豚肉としてブランド化を図る場合は、筋肉内脂肪含量の基準として4%以上を用いることが望ましい。 |
野菜・花き・きのこ 令和5年(2023年度)野菜花き試験場菌茸部
タピオカ澱粉かすはエノキタケ培地資材コメヌカの25%代替として利用が可能であり、さらに詰め重を15g程度軽量化できる未利用資材のタピオカ澱粉かす(原料はキャッサバ芋)はエノキタケの主要な栄養材コメヌカ使用量の25%代替として利用できる。また、タピオカ澱粉かすをコメヌカの25%代替することで培地の詰め重を1ビン当たり2.5%(850㎖ビンで15g)軽量化できる。 |
果樹 令和5年(2023年度)果樹試験場栽培部
りんごの1年生フェザー苗木の育成に再養成台木を利用すると良質な苗木が生産できるりんご「ふじ」のフェザー苗木を1年で育成する場合、取り木後1年間養成した再養成台木を利用すると、初期の新梢生育が旺盛で、5~50cmのフェザーが10本以上の良質な苗木が多く生産できる。 |
畜産 令和5年(2023年度)畜産試験場(温暖化対策領域)飼料環境部
乳牛ふん尿の温度が堆積開始後1~2週間ほどで55℃程度までしか上がらないと想定される場合、堆積開始時に完熟堆肥で被覆すると温室効果ガスの発生量をCO2換算で最大25%程度減少できる乳牛ふん尿の堆肥化処理時に副資材の混合量が少なく堆積開始後1~2週間ほどで堆積物温度が55℃程度までしか上がらないと想定される場合、初回切返しまでの期間に多量の温室効果ガスが発生する。堆積開始時に完熟堆肥で表面を覆うと堆肥化処理時の温室効果ガスの発生量をCO2換算で最大25%程度減少できる。 |
作物 令和5年(2023年度)農業試験場作物部、長野農業農村支援センター
小麦ほ場で発生するカラスムギは、粒状石灰窒素55による休眠打破の活用及び有効な除草剤体系処理により発生を低減することができる小麦ほ場で発生するカラスムギは、前作収穫後、小麦播種1ヶ月前頃までに粒状石灰窒素55(以下、石灰窒素)50kg/10aを散布し、小麦播種後はトレファノサイド乳剤300ml/10a、及び小麦4葉期までにサターンバアロ粒剤5kg/10aを散布することで発生を低減できる。また、播種時期が遅いほど、発生の低減に有効である。 |
果樹・土壌肥料 令和4年(2022年度)南信農業試験場栽培部
日本なし「幸水」に対する根域施肥と表面局所施肥の組み合わせによる慣行施肥の50%減肥技術日本なし「幸水」成木樹に対し、2月下旬に圧縮空気噴射式土壌改良機を用いて、慣行施肥における基肥と3~5月追肥の合計分の50%量の窒素を、緩効性窒素肥料で主幹から2m離れた周囲に等間隔で8か所、深さ30~40cmに打ち込む(根域施肥)。その後、6月下旬及び収穫後に慣行施肥の50%量の窒素を速効性窒素肥料で主幹の周囲に環状に表面局所施肥する。この施肥方法を5年間継続しても、生育、収量及び果実品質は慣行施肥と同等に維持できる。 |
畜産 令和4年(2022年度)畜産試験場(温暖化対策領域)酪農肉用牛部
柿皮パウダー400gを牛に給与すると乳用牛と肉用牛の生産への影響なく、第一胃内メタン古細菌が抑制されメタン濃度は低下する県内特産品の干し柿の製造副産物である柿皮を分解処理、乾燥したパウダー400gを牛に給与すると、乳量や健康に影響なく第一胃内メタン古細菌が抑制され第一胃内メタン濃度が低下する。 |
畜産 令和4年(2022年度)畜産試験場(AW領域)養豚養鶏部
県産地鶏「長交鶏3号」における敷料による胸部水疱の発生軽減策県産地鶏「長交鶏3号」に発生する胸部水疱は、敷料の利用量増加及び敷料としてオガクズよりモミガラを利用することで軽減できる。 |
畜産 令和4年(2022年度)畜産試験場(飼料対策領域)飼料環境部
夏季でも変敗しにくいTMR及び発酵TMRの作製方法サイレージ用乳酸菌添加とうもろこしサイレージを混合したTMR又は有機酸を添加したTMRの作製により、飼槽中の好気的変敗による温度上昇を半日から1日程度抑制できる。また、発酵TMRは開封時のpH、乳酸濃度又は酢酸濃度から開封後に変敗しにくいか判定できる。 |
畜産 令和4年(2022年度)畜産試験場(AW領域)養豚養鶏部
採卵鶏育成用飼料は「長交鶏3号」の飼育飼料として利用できるブロイラー飼料と比較して養分濃度が低い採卵鶏育成用飼料は「長交鶏3号」の飼育飼料として利用できる。また給与による鶏肉の食味への悪影響はなく、腹腔内脂肪の蓄積抑制効果が期待できる。 |
野菜・花き・きのこ 令和4年(2022年度)野菜花き試験場育種部
トマト「長・野交59号」は障害果の発生が少なく多収性で、果汁品質が優れるジュース用トマト品種として有望であるトマト「長・野交59号」は「らくゆたか」、「なつのしゅん」より主要障害果の発生が少なくほ場日持ち性が優れ、総収量、出荷可能な良果収量が多く、多収である。果汁成分の糖度とリコペン含量が「らくゆたか」、「なつのしゅん」より高く、果汁品質が優れる。 |
野菜・花き・きのこ・土壌肥料 令和4年(2022年度)野菜花き試験場野菜部、佐久支場
マルチ2作利用での2作目の施肥作業における追肥機の利用は作業負担軽減に有効であるマルチ2作利用での施肥作業においてハンディ追肥機を利用することにより、従来の手作業による追肥と比較して作業姿勢が大幅に改善し、作業時間が短縮する。 |