研究情報

研究成果『普及技術』

長野県農業関係試験場にて取り組んだ「普及技術」の研究内容とその成果をご紹介します。

病害虫 平成20年(2008年)野花試(病虫土肥部、花き部、育種部)

トルコギキョウにおけるウイルス病害の発生実態と耕種、物理、化学的防除を組み合わせた発病抑制技術

県内のトルコギキョウに発生している主要なウイルスは、キュウリモザイクウイルス、インパチェンスえそ斑紋ウイルス、アイリス輪紋ウイルス、トルコギキョウえそ萎縮ウイルス(仮称)の単独または重複感染であるが、これらは個別の技術を総合化した「組み合わせ防除」の実施により、被害を抑制することができる

病害虫 平成20年(2008年)野花試(病虫土肥部)

アルストロメリアにおけるウイルス病害の発生実態と主要ウイルスであるアルストロメリアモザイクウイルスの診断技術

県内のアルストロメリアからは多数のウイルスが検出されるが、県下広域から検出される主要ウイルスはアルストロメリアモザイクウイルス(AlMV)であり、本ウイルスに特異的な抗血清を作製し、DAS-ELISA 法および DIBA 法による血清学的診断技術を確立した。

病害虫 平成20年(2008年)南信試(病虫土肥部)、果樹試(病虫土肥部)

50℃の温水点滴処理はなしとりんごの白紋羽病防除に有効である

白紋羽病罹病樹を中心とした半径 1m あるいは 2m 四方の範囲に 50℃の温水を地表面から点滴する。なし、りんごともに根部の白紋羽病菌が消失あるいは減少し高い治療効果が得られる。なしでは処理後に細根の発根が旺盛に認められ、樹勢回復が促される。

病害虫 平成20年(2008年)農事試(病虫土肥部・作物部)、農総試(経営情報部)、農業技術課(専技))

イネいもち病(葉いもち)の発生予察に作物の栽培支援装置「クロップナビ」が有効である

「クロップナビ」は「発生予察支援装置」とほぼ同等の精度で葉いもちの感染予測が可能なほ場設置型の観測装置である。マイコン、液晶画面を装備しており、ほ場で予測結果を知ることができるなど利便性が格段に向上した装置である。

野菜・花き・きのこ・土壌肥料 平成20年(2008年)野花試(病虫土肥部)、中信試(畑作育種部)

特殊肥料「そば殻発酵堆肥」は2t/10a施用することで、夏レタス、秋ハクサイ、スイートコーンでは30~50%、雨除けトマトでは15~30%の化学肥料減肥ができる

特殊肥料「そば殻発酵堆肥」の窒素肥効率は単年度 10~20%で、夏レタスと秋ハクサイは2t/10a連用により減肥率30~50%で3~4 年間の化学肥料減肥栽培ができる。また、2t/10a 単年度施用では、スイートコーンは 30~50%、雨除けトマトは 15~30%の化学肥料減肥栽培ができる。

土壌肥料 平成20年(2008年)農業技術課(専技)、農総試(環境保全部・経営情報部)、農事試(病虫土肥部)、野花試(佐久支場)、果樹試(病虫土肥部)、中信試(畑作栽培部)

土壌診断施肥診断支援システム「Dr.大地(ドクター大地)」Ver.3.1の活用法

土壌診断施肥診断支援システム「Dr.大地(ドクター大地)」Ver.3.1 は、これまでの土壌分析値に基づいた土壌診断機能に加えて、有機物の施用状況も加味した窒素、りん酸、加里の施肥設計が可能である。

畜産 平成20年(2008年)中信試(畑作育種部)

飼料用とうもろこし「31P41」は中生品種として有望である

飼料用とうもろこし「31P41」は相対熟度(RM)120 の中生品種で、茎葉消化性が高く多収な品種である。

畜産 平成20年(2008年)畜試(飼料環境部)

オーチャードグラス「ハルジマン」は採草利用品種として有望である

オーチャードグラス「ハルジマン」は収量性、生育特性に優れた晩生品種であり、採草利用品種として有望である。

畜産 平成20年(2008年)畜試(飼料環境部)

チモシー「クンプウ」、「オーロラ」は採草利用品種として有望である

チモシー「クンプウ」は出穂始期が「ノサップ(現奨励品種)」より 19 日早く(畜試 3 ヵ年平均)、耐倒伏性の高い多収品種である。チモシー「オーロラ」は出穂始期が「ノサップ」より 6 日早い(畜試 3 ヵ年平均)多収品種である。

畜産 平成20年(2008年)畜試(肉用牛部)

高消化性ソルガム「葉月」の細断型ロールベールサイレージとこれを主原料に調製した「発酵TMR」の品質は良好で安定している

細断型ロールベーラを用いて高消化性ソルガム「葉月」をロールベールサイレージ調製すると、高品質なサイレージができる。また、それを主原料に細断型ロールベーラを用いて調製した「発酵TMR」は発酵品質が良好で、開封後も発熱せず、品質劣化しにくい。

果樹 平成20年(2008年)果樹試験場

ストッポール液剤はりんご「シナノドルチェ」の収穫前落果防止に有効である

りんご「シナノドルチェ」において、ストッポール液剤の1500倍を収穫開始予定日の15日前に散布すると落果防止効果が得られる。

果樹 平成20年(2008年)果樹試(育種部)

りんご「ふじ」単植園における受粉専用品種の混植方法

わい化栽培のりんご「ふじ」単植園において、訪花昆虫としてマメコバチを利用した場合、受粉樹として受粉専用品種を 15~20m程度の間隔で植栽することで、園地全体の頂芽中心果 80%程度以上の結実が確保できる。

果樹 平成20年(2008年)果樹試(栽培部)

切り戻し、芽かき、ビーエー液剤の複数回散布による、りんご2年生わい性台木苗木(カットツリー)の樹冠形成技術

ほ場に植えたままの状態のりんご 1 年生わい性台木苗木に切り戻し、芽かき処理を行い、残した新梢の先端部にビーエー液剤を繰り返して散布することで、主幹上にフェザーが多発し、わい化栽培で利用しやすい樹幹構造のカットツリーが育成できる。

果樹 平成20年(2008年)果樹試(栽培部)

りんご新わい化栽培に適する2年生わい性台木苗木(カットツリー)は、長さ5~50cmの側枝本数が概ね10本以上のものが望ましい

りんご新わい化栽培に適する 2 年生わい性台木苗木(ふじ/M.9 ナガノ、シナノスイート/M.9 ナガノ、シナノゴールド/JM7)は、主に長さ 5cm 以上 50cm 未満の側枝本数で評価し、概ね 10 本/苗以上であることを目標とする。

果樹 平成20年(2008年)果樹試(栽培部)

りんごM.9ナガノ台木樹(カットツリー)は初期収量を確保するために定植1~2年目は側枝の切り返しを行わない

りんごM.9ナガノ台木樹の2年生苗木定植時とその翌年に側枝先端を切り返さないと、頂芽花芽数が多くなり、初期収量が多くなる。

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