研究成果『野菜・花き・きのこ』
長野県農業関係試験場にて取り組んだ「野菜・花き・きのこ」の研究内容とその成果をご紹介します。
技術情報 平成23年(2011年)野花試環境部・花き部
長野県下のりんどうから検出されるウイルス種とその病徴長野県下の主要なりんどう産地からは、主にキュウリモザイクウイルス(CMV)とソラマメウイルトウイルス(BBWV)の2種ウイルスが広域に多数検出される。病徴は、CMV検出株が糸葉症状や株の生育不良であり、最も検出頻度の高いBBWV検出株では単独感染で葉のモザイクや軽いえそ症状を呈する程度であるが、CMVとの重複感染でわい化や極端な萎縮が認められる。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試環境部
平成23年に中信地区のすいかで多発した果実腐敗症状はスイカ果実軟腐病である平成23年に中信地区のすいか産地で、収穫時に健全であった果実が出荷後1~2日のうちに外果皮を残して軟化腐敗する病害が発生した。原因究明を行ったところ、多くの野菜類に軟腐症状を引き起こす Erwinia carotovora subsp. carotovora によるスイカ果実軟腐病であることが明らかになった。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試環境部
長野県内のカラーピーマンに発生しているウイルス病害の発生状況長野県内のカラーピーマンに発生しているウイルス病害株からは、キュウリモザイクウイルス(CMV)が最も多く検出され、次いでインパチェンスえそ斑紋ウイルス(INSV)、トマト黄化えそウイルス(TSWV)、ソラマメウイルトウイルス(BBWV)の順である。また、季節別で各ウイルスの検出頻度が異なり、特に初夏から夏季高温期に検出頻度の高いTSWV、CMVにより、経済的な被害が生じる危険性が高い。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試環境部
セルリー萎縮炭疽病の選択培地と遺伝子診断法による高精度診断法の開発セルリー萎縮炭疽病菌は、開発した選択培地を用いて簡易に検出できる。さらに、開発した高感度遺伝子診断手法を用いることで、極微量の DNA でセルリー萎縮炭疽病菌を検出できる。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試環境部・野菜部
セルリー萎縮炭疽病の種子伝染の証明と温湯種子消毒の防除効果セルリー萎縮炭疽病は、種子伝染する。種子消毒には50℃30分の温湯消毒が有効である。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試環境部
遺伝子診断法(PCR法)によるレタス根腐病菌のレース迅速識別法レタス根腐病菌における特定遺伝子領域の塩基配列をもとに、各レースの DNA 断片を特異的に複製できる試薬(プライマー)を開発した。このレースに対応したプライマーを用いた PCR 法により、レタス根腐病菌の各レース(1~3)が迅速に識別できる。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試花き部
量販需要に向けたキクの密植栽培における栽植密度・仕立て方法量販需要に向けた輪ギクの密植栽培では、a 当たりの仕立て本数を 7,200 本とした時に 70cm 調整重 30g 以上の切り花本数が多くなる。この時の株間と株当たり仕立て本数は、床幅 60cm 程度の2条植えでは、株間 7.5cm×3本/株または株間 10cm×4本/株とする。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試花き部
トルコギキョウの日持ち性に及ぼす栽培環境要因トルコギキョウの抑制栽培では、発蕾期以降の適度なかん水と4条植の疎植栽培により、切り花品質が高まり、日持ち性も向上する。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試育種部
精度向上のためのレタス斑点細菌病抵抗性ほ場検定の時期と施肥条件ほ場でレタス品種・系統の斑点細菌病に対する抵抗性の検定を行う場合、試験実施時期は5月下旬~6月上旬及び8月下旬~9月上旬定植の作期で行うと良好な結果が得られる。また、施肥窒素を減肥することによって、抵抗性を示す品種または系統の選抜が容易になる。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試佐久支場
ハクサイ、キャベツ、グリーンボール、ブロッコリーに発生する黒斑細菌病は発病に作物間差および品種間差があるハクサイ、キャベツ、グリーンボール、ブロッコリーにおける黒斑細菌病に対する感受性はグリーンボールとハクサイで相対的に高く、キャベツで低い。また、各作物とも品種間差がみられる。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試野菜部
植物原料由来生分解性マルチ「エコデイア」の特性植物原料由来生分解性マルチ「エコディア」は、作業性が既存の生分解性マルチと同程度である。既存の生分解性マルチより生分解はやや遅く、品目によっては生育がやや遅れることがあるものの、実用性が高い。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試野菜部
盛夏期のトマト施設栽培における高温対策用被覆資材の特性盛夏期のトマト施設栽培において、遮光率 30%程度の被覆資材である「ふあふあ」および「クールホワイト」を利用することにより、無被覆に比べてトマト果実の表面温度と葉面温度が下がり、トマト生長点位置における施設内最高気温も低下する。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試佐久支場
ブロッコリーの品種「おはよう」と「ファイター」は、播周期に低温に遭遇しても花らいが紫色になりにくく、品質も良好である晩秋期どりのブロッコリーで花らいにアントシアニン(花らいが紫色になる)が発現しにくく、花らいの品質が良好な品種として「おはよう」と「ファイター」がある。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試・環境部
ピーマン炭疽病の簡易診断法と防除対策下伊那地域で発生しているピーマンの斑点症状の原因はColletotrichum simmondsii R.G.Shivas & Y.P.Tan による炭疽病である。特に果実で被害が大きく、6月上旬に初発が認められる。Ca 欠乏症との識別が困難な場合があるが、3日間の常温・湿室条件で簡易診断が可能である。本病に対してはアミスターオプティフロアブル、ダコニール 1000 による予防散布が有効である。 |
技術情報 平成23年(2011年)野花試・環境部
北信地域の露地アスパラガスに多発する茎枯病の特徴とその防除対策長野県北信地域の露地アスパラガスで多発している茎枯病は、前年の罹病残茎等からの若茎への感染に端を発し、立茎後の発病蔓延に至る。さらに、秋季刈り取り後の罹病残茎等が翌年の伝染源となっている。本病を効率的に防除するためには、立茎前の畦面への盛り土や立茎後の速やかな薬剤防除など、各防除方法を組み合わせた体系防除が必要である。 |