農作物病害虫データベース

クロバネキノコバエ科(きのこ/エノキタケ)

クロバネキノコバエ科

病徴と診断

菌床栽培で発生するクロバネキノコバエには、ツクリタケクロバネキノコバエ(写真4)、チビ(チバ)クロバネキノコバエなどが報告されている。 チバクロバネとチビクロバネは別種として扱われていたが、近年の研究では同種と扱われることが多くなった。日本産のクロバネキノコバエ科は21属113種の記録があるが、実際はこの10~20倍の種がいると推測されており、分類は非常に難しい。また、未成熟期(幼虫)の形態については研究が非常に少なく、幼虫による同定は不可能とされている。
成虫の体長が2~5mmの小さなハエで、全体が黒っぽい色をしており、2枚の羽は透明~暗色透明で、頭部には糸状の長い触角を持つ。この仲間の1種の飼育例では、1世代が18日前後(20~30℃)である。卵は楕円形で淡い色をしており、菌床に産みつけられる。幼虫は体長3~8mm、体色が透明~黄色で、菌床に穴を掘って菌糸を食する。キチン質の頑丈な口吻を持ち、きのこ組織を食い破り、穿孔することもある。10日程度で簡単な繭を作り蛹になる。繭を作る場所は外界に近い菌床内や種菌上である。蛹は数日で成虫になる。

発病条件

エノキタケは培養日数が短いので、害菌汚染ビンが散発的に増加したり、菌かき時に外したキャップや菌床面に幼虫や蛹を発見することで、その侵入に気づくことが多い。培養室内で繁殖が繰り返されることはまれである。
菌かきの前に抜き取った汚染ビンを、施設内に放置すると成虫が出てきて、培養室内に侵入することがある。芽出し室(期)では幼虫が成長することは可能であるが、抑制以降は5℃前後まで室温を下げるため、成長が止まり、数mmの幼虫か蛹の状態で発見されることが多い。

防除方法

・培養室の吸排気口への侵入防止ネットの設置、隙間を埋める
・培養室入り口にエアー(ビニール)カーテンを設置し、成虫の侵入を防ぐ
・割れビン・破損キャップの処分、キャップのウレタンフィルターの交換
・害菌汚染ビンの抜き取り徹底
・培養室に捕虫機の設置
・汚染ビンを生育室や菌かき機周辺に放置しない
・施設周辺に廃菌床、割れビン等を放置しない
・生息場所となる、施設周辺の雑草は定期的に草刈りする等を定期的に実施する。

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長野県農業関係試験場は、県内6つの試験場を中心に農業・水産業の課題解決のための試験研究を行っています。

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