- 2019.10.01
- お知らせ
- 全試験場
試験場だより 令和元年10月号(517号)
農業関係試験場
- 試験研究課題に係る外部評価委員会を開催しました
令和元年度外部評価委員会を、9月12日(木)に野菜花き試験場で開催しました。外部評価委員会は、研究課題の設定、試験内容、成果について外部の有識者から意見をいただくため、平成11年度より毎年開催しています。今年度は野菜と畜産に関する研究課題が評価対象となり、評価をいただく研究課題は、3年程度で生産現場に普及できる技術開発を目標に行う「県単プロジェクト研究」です。今回は、平成29~30年度に終了した課題と平成30~令和元年度の新規課題が評価対象です。さらに、温暖化研究も評価していただきました。
農業試験場
- 酒米の新品種「信交酒545号(山恵錦)」の産地検討会が開催されました
「信交酒545号(山恵錦)」は平成28年(2016年)に育成され、現在、品種登録出願公表中の酒米の新品種です。水稲としての栽培特性及び酒造面での加工適性ともに従来の品種以上に優れており、本格デビュー3年目を迎え、栽培面積、酒造会社での取り扱いともに順調に伸びてきました。
「信交酒545号(山恵錦)」の産地検討会が8月26日に主産地である大町市内で開催され、生産関係者、酒造関係者約60名の出席のもと、熱心に検討されました。
果樹試験場
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ぶどうの品質向上・生産拡大に向けたコンクールが始まりました
くだものの収穫期を迎え、果実の品質向上や生産拡大に向けたコンクールが始まりました。長野県園芸作物生産振興協議会うまいくだもの部会によるぶどうのコンクールは「ナガノパープル」を対象として9月17日、「シャインマスカット」を対象に9月26日に開催されました。
今年の気象の影響を受けて出品物の中には、房により形や粒の大きさ、色付き、糖度にばらつきがみられるものがありましたが、入賞した出品物は、外観が素晴らしく、糖度が高く、揃いが良いもので、長野県産ぶどうの品質の高さを誇るものでした。
野菜花き試験場
- エダマメの品種審査会を開催しました
(一社)日本種苗協会主催によるエダマメの品種審査会を、9月5日に野菜花き試験場(塩尻市)で開催しました。今回の審査会には、種苗メーカー6社から12品種が出品されました。エダマメは収穫適期が短いため、播種時期の選定が重要であり、病害への耐性も課題になります。当場では6月3日と6月14日に播種し、審査会当日まで栽培管理しました。審査日当日は収穫適期を過ぎてしまう品種もありましたが、全体的に草姿がよい6月14日播きの区を立毛審査の対象としました。
公的研究機関及び種苗会社から選ばれた審査員15名が立毛、収穫物の審査を行い、総合点で4品種が入賞となりました。1等を受賞した品種は立毛、収穫物とも優れた品種でした。
畜産試験場
- 豚コレラの防疫措置を行いました
畜産試験場において、長野県の農場で2例目となる豚コレラが発生してしまいました。
9月14日に国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(通称:農研機構)動物衛生研究部門において、畜産試験場の肥育豚が「豚コレラ患畜」と判定されました。これを受けて、即日、長野県特定家畜伝染病(豚コレラ)対策本部から「防疫措置」の指示が発出され、当場で飼育する、豚349頭の殺処分と埋却のほか、汚染物品の埋却と養豚エリアの洗浄・消毒を行い、9月16日13時38分をもって一連の措置を完了しました。最大限の防疫措置を講じてきましたが、今回の発生を防ぐことができず断腸の思いです。犠牲となった349頭に対しては、可哀そうなことをしたと思っており、無念でなりません。
今後は、当場からのウィルスの拡散・蔓延の防止が当面の絶対事項であり、来場される業者の皆様などにも協力要請する中で、退場時の消毒の徹底等により、万全を期してまいります。
また、後日、農林水産省の疫学調査チームによる原因究明の調査報告が出されます。その報告を見ながら、不足する部分の対策強化を図りつつ、養豚部門の機能を回復させ、畜産試験場として、長野県の養豚振興に貢献する試験研究や精液・子豚の供給ができるように、進めてまいりたいと考えております。
南信農業試験場
- 南信農業試験場の一般公開を開催しました
南信農業試験場では、毎年恒例の試験場一般公開を9月7日(土)に開催しました。気温が30℃を超える残暑の厳しい中でしたが、開場の2時間前から並んでいただいた方もおられるなど、約300名の方にご来場いただきました。
なしの販売や試食では、当場育成のオリジナル品種「サザンスイート」や「南月」の人気が高く、大盛況でした。また、場内ほ場で実施したクイズラリー、なし釣りコーナー等、わずかな時間ではありましたが、職員が日ごろ取り組んでいる試験研究に触れていただけるよい機会となりました。
知って納得
- ブドウの皮ごと食べやすさの評価(果樹試験場)
今月は、果樹試験場からお届けします。近年では、手間をかけずに手軽に食べられる果物が人気です。ブドウを見ても、「ナガノパープル」や「シャインマスカット」のような皮ごと食べられる品種の人気が高く、需要も拡大しています。また、果樹試験場が育成した新品種「クイーンルージュ®」も皮ごと食べられる赤色のブドウです。このように「皮ごと食べやすさ」への注目が高まってきています。
果皮が薄い、果肉が硬い、果肉特性が崩壊性(噛み切りやすい肉質)、はく皮性が難(果皮と果肉が分離しづらい)の特徴の形質評価は従来、官能評価(食べて評価)を中心に実施されてきました。現在では、食品の物性を測定できる「クリープメーター」を使用し、客観的に評価する方法が開発されています。新品種育成に向けて、「皮ごと食べやすさ」は今後も重要な形質になります。そのため、従来の官能評価による評価に加えて、クリープメーターによる評価方法を用いて、系統・新品種の評価に取り組んでいます。
10月の行事予定はこちらをご覧ください。