トピックス

試験場だより 令和2年3月号(522号)

農業試験場

  • 令和元年産麦を使ったうどんと麦飯の官能検査を実施しました
     農業試験場では、大麦と小麦の品種育成を行っています。大麦は主に麦飯用のうるち、もち品種を、小麦はうどん用、パン用、中華麺用の品種を育成しています。栽培しやすく多収であることは品種に求められる重要な特性ですが、水稲と同様に、麦においても麦粒や粉の品質、製品のおいしさも兼ね備える必要があります。製品のおいしさは、製品をつくって食べ比べる「官能検査」を行って評価します。
     令和元年産小麦を使ったうどんの官能検査を実施しました。うどんの官能検査では色(白さ)、外観、かたさ、粘弾性、滑らかさ(のどごし)、食味の各項目について標準品との比較を行います。 また、白米に大麦を30%混ぜて炊いた麦飯を食べ比べる官能検査を実施しました。麦飯の官能検査では外観、香り(麦臭さ)、味、粘り、硬さの項目で評価します。近年、機能性成分の食物繊維「β-グルカン」が豊富なことで注目されているもち性大麦は、食感も優れることがはっきりしています。
     今回の結果を参考にして、より食味の良い品種を育成していきます。

果樹試験場

  • 整枝せん定作業が追い込みに
     本年は暖冬傾向で経過しており、場内の「エゾノコリンゴ」は平年より15日早い1月30日に発芽するなど、果樹類の生育が前進化する兆候があります。日本すももは、りんごやももに比べて発芽が早い樹種です。ここ数日で花芽が膨らみ始めており、この先気温が上昇すると一気に生育が進みそうな気配がみられます。
     場内の各圃場ではりんご、ぶどうほかの整枝せん定作業が進められています。この冬は降雪が少なかったため、全体的には効率よく作業ができているようです。中でも、棚栽培の日本すももは枝を切除した後の誘引作業に手がかかるため、実習の学生も入って急ピッチで進めています。


野菜花き試験場

  • 農業大学校野菜花き実科・研究科の専攻研究発表会が開催されました
     野菜花き試験場(塩尻市)に併設している農業大学校野菜花き実科・研究科では、学生2名による専攻研究の発表会を行いました。
     より深い知識と技術の習得を目的に、各々が興味を持っている専攻研究のテーマを決めて、一年間担当の研究職員とともに、暑い夏から秋にかけて、ほ場やハウスでの調査や管理を行いました。結果の取りまとめでは、担当の研究員のアドバイスを受け、パソコンでのデータ集計や解析、発表原稿やプレゼンテーション資料の作成などを行いました。
     発表会では、大勢の人前で自分の意見を述べるような経験が乏しいため、普段よりも緊張感を漂わせていました。しかし、2名とも決められた時間内に堂々とした態度とはっきりとした口調で発表を行い、聴衆の職員の間からは拍手が沸き上がりました。それぞれ、実験の目的に対応する結果を導き、自分なりの考えで考察を述べ、質問に対しても的確に答えていました。
     学生は卒業を迎え各々の道を歩むことになります。この得難い経験をそれぞれの道に活かしていただくよう願っています。

畜産試験場

  • 農業大学校畜産実科・研究科の専攻研究発表会が開催されました
     畜産試験場において、農業大学校畜産実科・研究科の専攻研究発表会が開催されました。今年度は、実科生(11名)は2~3名のグループで、研究科(2名)は各自でそれぞれテーマを決め、担当研究員の指導を受けながら6月に研究計画の発表、12月には中間報告を行い、研究を進めてきました。
     発表会では、学生は緊張しながらも、全てのテーマでパワーポイントでのプレゼンテーションを行い、全員が交代しながらしっかりと成果を発表することができました。
     この取組により、一つのテーマについて調査を行い、結果をまとめることで畜産についての理解が一層深まったことと思います。また、当日は、試験場職員だけでなく保護者の方にも出席していただきましたので、自分の研究結果を多くの人に向かって説明して質問に答える機会となり、社会に出る前での貴重な経験にもなりました。

南信農業試験場

  • 農業大学校南信農業実科の学生が先進農家で5日間の体験研修、その発表会が開催されました
     南信農業試験場には農業大学校南信農業実科・研究科が併設されており、実科生が3名在籍しております。今年度、実科では場内で日本なしや「市田柿」の栽培、病害虫、土壌肥料などの基礎的な知識と技術の習得を行うとともに、県内各地に出向いて研修を行ってきました。このたび、昨年初夏に実施された「先進農家体験研修」の発表会が、場内の研究職員全員の出席のもと開催されました。
     研修は、時期的にりんごの摘果作業など単調な仕事が多かったようでしたが、学生たちは積極的にコミュニケーションをとって経営内容や販売方法などを聞き、自分の感想や将来展望なども添えて発表しておりました。また、研修前の想像を超える多くの栽培や販売の方法を学び、大変刺激を受けた様子でした。
     発表後の質疑では、職員から多くの質問が出されました。
     学生たちは間もなく卒業式をむかえ、4月からは全員研究科への進学を予定しております。今回の体験研修をきっかけに、世の中を広く見渡しさらに勉学に励んで立派な農家になれるよう期待しております。

知って納得

  • アブラナ科野菜における雑種第一代(F1)品種(野菜花き試験場)
     長野県では、夏秋季に冷涼な気候を活かし、全域で様々な葉物野菜が生産されています。特にアブラナ科野菜は、はくさい、キャベツ、グリーンボール、ブロッコリー、カリフラワーなど多くの種類が栽培されています。近年、主なアブラナ科野菜では、雑種第一代(F1)品種が用いられています。F1品種のメリットは、両親の組合せの相性により生育が旺盛になる雑種強勢を利用した収量の向上や、複合耐病性を持たせやすいこと、揃いが良くなることなどが挙げられます。品種をF1とするためには、アブラナ科植物に元来備わる特有の性質である、自家不和合性(じかふわごうせい)や雄性不稔性(ゆうせいふねんせい)が利用されています。
     野菜の生産現場では有益な特性を発揮するため、植物の性質を最大限に利用して、F1品種化が進められました。野菜品種に求められる特性が多様化する中、野菜花き試験場では、今後もそれらの要望に応えるために、様々なアブラナ科野菜においてF1品種開発に取り組んでいます。

3月の行事予定はこちらをご覧ください。

お知らせ一覧

農業関係試験場について

長野県農業関係試験場は、県内6つの試験場を中心に農業・水産業の課題解決のための試験研究を行っています。

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