- 2019.12.05
- お知らせ
- 全試験場
試験場だより 令和元年12月号(519号)
農業試験場
- 県内の農地土壌を対象にして、土の硬さや残存養分など作物を栽培する環境について調査をしています(本年は東信地域で実施)
農業試験場では1979年(昭和54年)から、県内各地で農家の皆様のご理解とご協力をいただきながら、東信・中信・南信・北信に分けて毎年1地域ずつ10~11月に農地土壌の状態を調べています。収集した基礎データは、農地土壌の実態を経時的・総合的に把握し、農業経営の改善に役立つ技術を開発するほか、地球温暖化が地力窒素の動態に及ぼす影響や堆肥などの有機物施用による土壌中への温室効果ガス(二酸化炭素)貯留効果などを把握するためにも活用します。
果樹試験場
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農業大学校果樹実科生・研究科生が台風19号被害果樹園の復旧実習を行いました
長野市長沼地区は、先の台風19号による千曲川堤防決壊により甚大な被害を受けました。洪水被害から1ヵ月が経過した11月14日(木)から長野市内の信州農業再生復興ボランティア活動が始まり、農業大学校果樹実科生はこの初日のボランティア活動に実習として参加しました。
リンゴの一大産地である長沼地区の被災園では、大小様々な漂着ゴミと流入した泥が厚く堆積しており大変な状況でした。ボランティア作業は、これらのゴミの搬出と分別及びリンゴ樹の幹回りの堆積した泥をスコップで取り除くことでした。また、この地区にはリンゴ高密植栽培も導入されており、今回の洪水でトレリスが倒壊した高密植栽培園の復旧に果樹実科生・研究科生と引率の果樹試験場職員が加わり11月18日(月)と21日(木)と2回にわたり活動を行いました。
復旧作業後は作業園地が見違えるようにきれいになり、園主からもとても感謝されて大きな達成感を得ることができました。泥と埃にまみれたボランティア活動でしたが実に清々しい気持ちで帰路につきました。
しかしながら、一帯では泥の堆積した被災樹園地がまだまだ多く、復旧支援が引き続き必要です。
野菜花き試験場
- 農業大学校野菜花き実科生・研究科生が県外研修を行いました
10月24日(木)に県外研修で愛知県内を視察研修しました。
午前中には、中日本地区の花き流通を支えている愛知豊明花き市場(豊明市)で花きの競りのしくみと、どのような花が市場で今求められているかなどについて学びました。午後には株式会社エム式水耕研究所(弥富市)を訪問し、エム式水耕装置を用いたトマト栽培ハウスを見学しながら、装置開発の経緯や特徴、産地への普及状況などを伺いました。また、養液栽培の目的や理論、導入のメリットや課題などについても解説していただきました。
大学校の講義でも勉強してきた内容を直接見聞することができ、有意義な県外研修となり、今後の進路選択や将来の仕事に活かされることを期待しています。
畜産試験場
- 家畜人工授精師(牛)養成講習会を開催しました
講習会の日程は前期が11月5日(火)からの約1ヵ月間で、県農業大学校畜産実科生をはじめ18名が受講しています。講習会の内容は、牛の一般的な飼養管理技術から生殖器解剖、繁殖生理、牛を使った実技実習など、家畜人工授精師として必要な家畜繁殖技術に関わる知識と授精技術で、受講者全員が熱心に習得に努めています。最終日には実技の修業試験が行われ、合格された方は晴れて家畜人工授精師(牛)の国家資格取得となります。
この講習会で学んだ知識と技術を活かし、家畜の改良と畜産振興、農家の経営向上に向け、活躍してくれることを期待しています。
南信農業試験場
- 飯田下伊那地域特産「市田柿」の加工実習を行いました
11月8日(金)に、場内で収穫した柿を使って、県農業大学校南信農業実科生3名が「市田柿」加工実習を行いました。この日は、柿の皮むきから柿を干すまでの作業を行いました。作業工程は、①自動皮むき機を使った柿の皮むき、②柿を専用の資材につるす「連づくり」、③密閉した空間での「硫黄くん蒸」、の順に行い、柿を干し場に並べて干していきます。硫黄くん蒸は、硫黄の粉末を燃やした煙で柿の表面をいぶすことで、干し柿の色を鮮やかなアメ色に仕上げるとともに、表面を殺菌しカビを防ぐ効果があります。
実習を終えた学生たちは、「市田柿」の加工の大変さを実感した様子でしたが、「完成するのが今から楽しみだ」と口を揃えていました。今回加工した柿は、3~4週間程干した後、「柿もみ」、「天日干し」、「粉出し」などの工程を経て、12月中下旬頃に完成する予定です。
知って納得
- 国産汎用コンバインによる子実とうもろこしの収穫(畜産試験場)
家畜のエサとなる子実とうもろこしは、これまでほぼ全量を輸入に頼ってきましたが、2011年(平成23年)から北海道の水田転換畑で栽培が始まり、大型の輸入コンバインを用いて収穫されるようになってきました。生産された子実とうもろこしは養豚農家や養鶏農家等で利用されています。
2016年(平成28年)から国産汎用コンバイン(長野県内では大豆やソバの収穫で利用)に装着できる子実とうもろこし収穫キットが販売されるようになり、本州以南の狭い圃場でも子実とうもろこしの収穫ができるようになりました。同年から畜産試験場では収穫キットを装着した国産汎用コンバインを用いて、作業能率と収量性、機械収穫に向く作型や品種に関する試験を始め、2カ年の研究成果をWeb上で公表しています(詳細本文)。
12月の行事予定はこちらをご覧ください。